次の日、ソラはいつもどおり仲良し4人組でランチを食べていました。アメリカではカフェテリアでクラスごとにランチを食べます。給食を買ってもよし、家から持ってきてもよし。すべて自由です。
「ソラ、昨日アメフト見に行ったでしょ?」
リサが給食のピザをほおばりながら、聞いてきました。ソラはリサとスタジアムでは会っていません。ですから、
「うん。チョー楽しかったけど・・・」
とあやふやに答えました。
「オー、リサ! リサ〜〜!」
ダイアンがなまめかしい声で、デザートのリンゴにムシャムシャとかぶりつきました。ソラはポカンと口をあけてリサを見ました。
「あのね、マイクから聞いたの。私・・・付き合ってるの」
真っ赤な顔でリサが答えました。ソラはびっくりしすぎて息が止まりそうになりました。
「ファーストベース!」
「やっちゃったんだって」
ダイアンとペイジがニヤッと笑い、さわぎたてます。
「え〜〜〜!!!ファーストー」
と言いかけたソラの口を、リサがあわてておさえました。ファーストベースとは「チュー」のこと。ダイアンは目を閉じ、こともなげに「チュッチュッ」と口をとがらせています。
「オー・マイ・ゴット!」
両手で顔をおおうソラ。ほっぺが熱くなっていました。指のすき間からは、リサのツヤツヤに光ったクチビルが見えています。昨日までのリサとは別人のようでした。ソラはしかたなくリンゴにかぶりつきました。