ショッキングなランチから3時間後。今度はエレメンタリースクールの女の子たちを大いにおどろかせるニュースが飛びこんで来ました。なんと「ジュニアチアリーダーのオーディション」が発表されたのです。
チアぼしゅうのチラシがはられたろう下のけいじ板には、女の子たちがわんさかおしよせ、大パニックです。
「うれしい!!! エレメンタリースクールのチアチームを作るなんて最高!!!!」
ダイアンが目をまん丸にしてさけびました。
「ソラ! オーディション、いっしょに受けよう! ソラはかけっこ速いし、チア似合うと思う!」
ダイアンの勢いにソラはうっかり「イエス!」と言いかけ・・・・、あわてて、
「ムリムリムリムリ! 私がオーディション受けるなんてムリッ!」
と激しくクビを横にふりました。
「練習すれば大じょうぶだよ! いっしょに練習しよう! あ〜、チアになれたら最高! アメフト部のボーイフレンドもできちゃうかも〜」
いつもより1オクターブ高い声でダイアンは答えました。そんなダイアンをソラはうらやましく思いました。
チアリーダーは飛んだりはねたりできて、成績もよくないと合格できません。ダイアンは小さい時からバトンをやってるし背も高い。ブロンドの長いかみの毛と青い目はお人形さんみたいです。ブリッジも取れて歯並びも完ぺきです。一方、ソラはカラダも固いし、背も小さい。黒いかみの毛のソラがオーディションに受かるとはとうてい思えませんでした。
「ボク、ダイアンにしっとしてるのかも」と思うと、ソラは自分がきらいになってしまいそうでした。
「ねえねえ、ソラ。あの人知ってる?」
ダイアンが軽やかな声で、ろう下の先を指しました。
「キャッ!」
ソラは思わず悲鳴をあげてしまいました。チャールズとマイクが歩いてくるではありませんか。カラダ中の血液がしんぞうめがけていっせいに集まってきて、またしんぞうが張りさけそうです。
「チャールズのお父さんって、有名なアメフトの選手だったみたいよ〜」
ダイアンが意味ありげに笑いました。ソラはダイアンにしんぞうの音が聞こえないか心配で、うわの空で聞いていました。