「今日のはちょっとめずらしいからな」
ちょっとほこらしげな秋斗(あきと)のうんちくなんて聞くそぶりもなく、丸っこい虫を黄色いくちばしがつかまえて、飲みこもうと上向いたときだった。
突然、けたたましい鳴き声を上げてピイは口にふくんだ虫をはき出した。そればかりか、ちいさなツバサをバタつかせて転げ回らんばかりの勢いでその場をのたうちまわる。
秋斗はぎょうてんした。
「どうした、ピイ!」
生えそろってきた茶色い羽を地面にたたきつけながら、体をこすり付けるようにピイは暴れまわる。子スズメを両手ですくい上げて、こしの高さのまど際から落ちてけがをしないうちにとケージにもどす。
いったい何が・・・。
考えかけてすぐに理由をさとった。