・・・でかでかと?
「このハンバーガー、こんなに大きかったっけ?」
まじまじと見つめていると、やっぱりいつもとちがうってことがすぐわかった。
なぜなら、ハンバーガーが、だんだん大きくなってきたんだもの。
しかも、時計からとび出してきたんだもの。
あんまりいきおいよく出てきたものだから、ハンバーガーはバラバラになっておちてきた。
思わずあんこちゃんはハンバーガーをうけとめようと、手をのばした。
ギリギリのところで、いちばん上のパンだけはキャッチできた。
すると、そのパンが言った。
「ナイスキャッチで、ありがとう! キャッチのついでに、もとにもどしてくれない?」
あんこちゃんはびっくりして、パンをおとしそうになってしまった。
「おっとあぶない! きをつけて」
パンはくりくりおめめをくるくる回しながら言った。
よく見るとちょっとかわいいかも、とあんこちゃんは思った。
あんこちゃんは言われた通り、ハンバーガーにもどしてあげた。
下のパンにハンバーグ、レタスをかさねて、その上に、かわいいパンをのっけたら、ほら、すっかりもとどおり!
と思ったら。もとにもどしてあげたのに、ハンバーガーったら、
「ちがう、ちがうよ、あんこちゃん!」
とおこりだしちゃった。
「え、ちがうの?ちゃんとお肉もレタスも、入ってるけど」
そしたら、ハンバーガーはこんなことを言い出した。
「まだたりない!レタスのうえに、とうがらし!」
とうがらし? そんなのあったかしら。
「ふつうハンバーガーに、とうがらしなんて入ってないもん」
せっかくなおしてあげたのに。あんこちゃんがちょっとムッとして言うと、
「ぴりーこぱんにははいってるの! ぴりっとからしがきいてないと、ぴりーこぱんじゃないでしょ!」
当たり前のことでしょ、といったかんじでハンバーガーが答えた。
でもあんこちゃんは、『ぴりーこぱん』なんて、聞いたことがない。
「ぴりーこぱんって何?」
「ぴりーこぱんは、ぴりーこぱんだよ」
きいてみたけど、よくわからなかった。