ふしぎなぴりーこぱん(1/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

よくわからなかったので、とりあえず、あんこちゃんはとうがらしをさがした。
とうがらしは、つくえの上の、あんこちゃんのクレヨンにまざっていた。
とうがらしが赤いから、さっきは見つけられなかったのだ。
そもそもハンバーガーにとうがらしが入ってると思ってないから、さがしてなかったし。

とうがらしを見つけたので、あんこちゃんはハンバーガーが言ったとおりに、レタスの上にとうがらしをのせ、もういちどパンをかぶせた。
ハンバーガーは、とびあがってよろこんだ。

「ありがとう!これでちゃんと、ぴりーこぱんにもどれたよ」
『ぴりっ』とした『パン』だから『ぴりーこぱん』なのかな、なんて思っていたら、あんこちゃんはまたびっくりしなければならなくなった。

ハンバーガーが、とつぜん人間の子どもになったのだ。

男の子か女の子かはよくわからない。
レタス色のシャツをきて、首にはとうがらしのペンダントを下げている。
すそが広がったズボンはハンバーグ色。
そしてパンと同じ色の頭には、やたらとたくさんのみつあみが、あっちこっちにむかって生えていて、色とりどりのリボンでかざられている。
日やけしたみたいなこむぎ色の顔の中でくりくりしている青い目は、ハンバーガーの時とおんなじだ。

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。