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「おつきさまだ! おつきさまの はんぶん、みつけた!」
リトルは、はんぶんの おつきさまを すくいました。
「おつきさまったら こんなところに いたんだね!」
リトルの わらいごえに、しかやリス、キツネや うさぎも とびでてきました。


「ぼく、 おつきさまの なくした はんぶんを みつけたんだ!」
「まあ! それは すてきだわ。くわしく きかせて くれるかしら!」
かわの おつきさまも たのしそうに ゆらゆら しています。
そらの おつきさまも、うれしそうに みんなを みまもります。
ふたつの おつきさまの ひかりで みんなの えがおが いっそう かがやきました。

「つめたい!」
リトルは、 ちいさな かわのなかで おきあがりました。
ぶるぶるっと からだを ふるわせて、みずを とばしました。
みずしぶきが おつきさまの ひかりで きらきらと てらされました。
「わあ きれいだ」
ちいさな がけだったので、 けがは ないようです。


「あのひかりは、なんだろう」
リトルは かわに ぼんやり ひかるものを みつけました。
リトルは そのひかりに はしって ちかづきました。
ぱしゃん、ぱしゃん
みずの はねるおとが ひびきます。

ゆっくり あるいていくと、 みちが ふたつに わかれていました。
「どっちに いけば いいんだろう」
いつも、いくみちは ものしりの かあさんに まかせています。
そこに ずっと たっていると ふたつの みちに すいこまれて しまいそうです。
「どうしよう・・・」


「あっ」
キラキラ、キラキラ
あまつぶで きいろい はっぱが かがやいて いました。
「かあさんが いってた。きいろい はっぱを みると いいことが あるって!」
リトルは はっぱを ひとふりしました。
あまつぶが はっぱから キラキラッと とんでいきました。

リトルは きいろの はっぱを てに のせて いきを ふきかけました。
「ふうっ」
きいろの はっぱは ふわっと ちゅうに とんで みぎの みちへ おちました。
「よし。こっちだ」
リトルは みぎへ あるきだしました。

あるもりに こぐまが すんでいました。
なまえは リトルといいます。
リトルは おつきさまが だいすき。
にがてな くらやみを やさしく てらして くれるからです。
リトルは まいばん おつきさまを みあげていました。
まあるい おつきさまは だんだんと ちいさく なっていきます。
「おつきさま、どうしたんだろう」

ずり、ずりり
つりばしが うごきました。
ずり、ずりりり~
つりばしが ひっぱりあげられます。
「よーし、もうひといき!」
きつねくんの みみが みえてきました。
「そ~~れ」
やったー!
きつねくん、たぬきくんが ひきあげられました。
「あ、ありがとう、ニーヨ!」
みんな うれしくて だきあいました。

「まってて!」
ニーヨは やまみちを かけだしました。
「いま、ぼくが いく!」
ニーヨは さかみちを かけて、かけて、かけのぼりました。

「うわ~」
「いててて~」
うさぎくん、りすくん、ねずみくんは とばされて しまいました。

「あはは、みんな、よわいなあ」
「ニーヨ、ひどい! わらうなんて」
「そうだ、そうだ! もっと てかげんしてよ。つよいんだから」
うさぎくんは ほっぺたを ふくらませました。

「ニーヨと あそんでも おもしろくない! あっちで あそぼ」
みんなは ニーヨを のこして いってしまいました。

くまのこ ニーヨは からだが おおきくて ちからもち。
おすもうが だいすきです。
でも こまったことが あるのです。

「やっと、あめの だいじさが わかったな」
いつのまにか こおにが すがたを あらわしました。
「ごめんなさい、わたし しらなかったの 。 あめが こんなにも だいじだったなんて・・・」
ありちゃんは ほおの なみだを ぬぐいました。

こおには ありちゃんの かおを みつめました。
そして、ありちゃんの てから あまぶえを うけとると すぅと ふきだしました。
ピィー、ピィー、ピィ~~
こおにの あまぶえは たからかに なりました。

ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロロロ~~
こおにの あまぶえを まっていたかの ように あまぐもと かみなりが やってきました。

パラパラパラリ・・・やさしいあめが ふってきました。

ありちゃんは ギョッと しました。
(のみみずが なくなったら、どうなって しまうんだろう。どうしよう・・・)
ありちゃんは はじめて あめの だいじさを おもいしりました。
まわりを みわたせば くさが すっかり しおれていました。
(ごめんね・・・。わたしの せいなんだ)
ありちゃんは しおれた くさを ぎゅっと にぎりしめました。

ジリジリ、ジリジリ。
そんな ありちゃんを あざわらうように たいようは てりつけています。