2026お正月特集の4日目は宇都宮みどりさんの創作童話をお届けします。
今回で最終回です。ぜひご一読を!
(作品は次のページから)

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今回はクリスマスにまつわるショートストーリーをお届けします。
文は伊藤由美さん、挿絵は伊藤耀さんです。

期日指定のプレゼント
1 びっくりしたサミュエル
今年もクリスマスが近づいてきます。
妖精のサミュエルは倉庫を掃除していました。
「もうすぐ工場から、今年の分のクリスマスプレゼントが、どっさり、届くぞ。その前に、ちゃんと、おそうじ、しておかなくちゃ」
さっさか、倉庫をはいていたサミュエルは、まだ空っぽのはずの倉庫に、何かが落ちているのを見つけました。
「何だろう、これ?」
拾ってみて、サミュエルは、心臓が飛び出すほどびっくりしました。
「わあ、大変だ! 去年のプレゼントが、一個、余っているんだ!」
それは、少しふくらんだ白い封筒でした。
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犬にまつわるショートストーリーをお届けします。
宇都宮みどりさんの作品(作・絵)です。
はずかしがりやの小太郎
小太郎は、山田さんちの6さいになるミニチュアダックスフンドです。
山田さんちにはお父さん、お母さん、そして小学2年生の花菜ちゃんがいます。
小太郎の友だちは、花菜の部屋の大きなクマのぬいぐるみ。
「クマくん。今日はね、ぼくのおたん生日だったんだよ」
「そうだったんだね。おめでとう」
「ありがとう。ケーキを買って、みんなでおいわいしてくれたんだ。ぼくの顔がかざってあったスペシャルケーキ、君にも見せたかったなあ」
「そのケーキ、ぼくも見たかったよ。食べられるもんなら食べてもみたかったな」
「そういえば、クマくんのおたん生日はいつ? おいわいしてもらったことある?」
「ぼくの誕生日? ん〜、いつなんだろう。花菜ちゃんちに来た日だったら10月10日だよ。だけど、ぼく、おいわいなんてしてもらったことないや」
「花菜ちゃんが、君のたん生日をわすれてても、ぼくが10月10日になったら『おめでとう!』って言ってあげるね。だって『おめでとう!』って言われるの、とってもうれしいんだもん。その気持ち、君にも知ってほしいからね」
「うれしいなあ。早くその日が来ないかなあ」
クマくんとは、こんなにおしゃべりできる小太郎ですが、外に出ると、はずかしくて、だれとも話ができません。
どれくらい時間がたったでしょう。チャロがそおっと目をあけると、目の前につぼがあります。
「きみのハチミツをもらえますか?」
大きなくまが、チャロに頭を下げています。
「え、ハチミツ?」
チャロは、ヘナヘナとすわりこみました。
「おれは重すぎてえだがおれてしまうから、ハチミツがとれない。だから、ハチミツを上手にとるきみの話を聞いて、となりの山からやってきたんだ」
「そ、そうだったの? ハチミツなら分けてあげるから、早く言ってくれたらよかったのに」
「話そうとしたら、にげられてしまってね。おれは『ロック』と言うんだ、よろしく」
ロックはボリボリと頭をかいてわらっています。
チャロは、ロックのつぼをハチミツでいっぱいにしてあげました。
「ああよかった。うわさ通り、とてもいいハチミツだね」
ロックはつぼを大事にかかえると、ハチミツのお礼に大きな魚をおいて帰っていきました。
それからというもの、ロックは魚とハチミツをこうかんしにやってきました。
そのうちすっかりなかよくなり、森にオオカミたちがあらわれた時は、追いはらってくれました。チャロたちは、お礼につぼいっぱいのハチミツをあげました。
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ズシーン、ズシーン
音とともに空気がゆれています。
チャロはゆうきを出して、おそるおそるふりかえりました。
すると、ま後ろに大きな大きなくまが立っていました。
「うわぁ! くまだぁ‼」
チャロは、ころがるようににげ出しました。大きなくまが何かさけんでいますが、こわくてふり向くこともできません。
チャロは、大急ぎで村長にほうこくしました。
わかいサルたちが、大きなくまの足あとをかくにんし、村は大さわぎになりました。
すぐに動物たちの代表が集まり、話し合いました。
「そんなに大きなくまじゃ、とてもたたかえないよ。引っこしてしまおうか」
リスがプルプルとふるえています。
「いや、ずっとくらしてきた森をはなれるなんてできないよ。行くところもないじゃないか」
ウサギはメソメソないています。
「ぼくらのキバなら、少しはたたかえるかもしれない」
イノシシは、石でキバをとぎはじめました。
「木の上から石をなげようか」
サルは石を手にして、ふりかざすまねをします。
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さらに数年たったある日のことです。ハチミツをほおばるチャロを見て、村長はうかない顔をしています。
「なぁチャロ、お前はここに来て何年もたつのに、ほとんど大きくなっていない。大きくなったら森を守ってもらおうと思っていたが、それはむりのようだ」
ほかの動物たちも、「やっぱり」と顔を見合わせています。
おどろいたのはチャロだけです。
「なんで! ぼくは強いくまになるんじゃないの? 森の王様になって、みんなを守るんじゃなかったの?」
村長は首を横にふりました。
「大きくならなかったが、お前は十分役にたっているよ。お前のハチミツは、みんなを元気にしてくれる」
「そうよ。大きくなくても、ずっと友だちよ」
「そうだよ。これからもずっとなかよしだよ」
カリンとクルミも、なぐさめてくれました。ほかの動物たちも、うなづいています。
「でも・・・でも、ぼくはずっと森の王様になるつもりだったんだ。これからぼくは、どうすればいいの? 強くないくまなんて、くまじゃないよ!」
チャロは、なきながらあなにこもってしまいました。
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山おくの木の根元で、こげ茶色の小さな子ぐまがないています。
「お母さーん、どこ? おなかすいたよぉ」
お母さんとはぐれてしまったようです。
それを見た、さるの村長が言いました。
「あの子ぐまは、きっと大きく強くなる。育ててこの森の王様にしよう。いずれみんなを守ってくれるにちがいない」
ほかの動物たちもさんせいし、子ぐまに「チャロ」と名前をつけ、みんなで育てことにしました。
チャロはどんぐりや山ぶどうが大すきで、パクパク食べて、スヤスヤねむり、ノビノビ遊びました。
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<その7>
チャン小熊ねずみはとてもうれしいきもちになりました。
そしてボールをうきわにしてのしおよぎやひらおよぎで川をおよいで行きました。
アナグマのお母さんが、時おりチャン小熊ねずみのお口に、おさじによそったはちみつを入れてくれたので、つかれておよげなくなることもありませんでした。
川をおよぐチャン小熊ねずみをはげますみんなのかけ声がいつしか一つになっていました。
「チャン小熊! チャン小熊! チャンこぐチャンこぐチャン小熊!」
チャン小熊ねずみはその声に合わせて、川の中を進みました。
「チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊! チャン小熊! チャンこぐチャンこぐチャン小熊!」
しだいにスズランのすんだあまいかおりがしてきました。
まんかいのスズランにかこまれたびょういんが見えてきました。
おばあちゃんの入いんしているスズランびょういんです。
チャン小熊ねずみは目をこらしてびょういんのまどを見ました。
(おばあちゃんはどのまどのおへやかしら)
雨がやみ、おひさまが出てきました。
びょういんのたてものの、ちょうど真ん中あたりのまどが一つ開きました。
そして、そのまどからチャン小熊ねずみのおばあちゃんがかおをのぞかせました。
おばあちゃんはだいぶびょうきが良くなってました。ひさしぶりにおひさまが出たお空を見ようとまどを開けたところだったのです。(次のページに続く)









